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DVD プレスを分かりやすく表現してみよう

弁は立ち、理屈は通る。 二人に狙われた企業は、いずれも緊張感を欠き、資産活用しておらず、株主価値を損ねている。
だが、目的はカネだけである。 「もの言う株主」としてマスコミに訴え、弱点を突き、経営陣がファンドを心底嫌いになり、増配で利益をもたらし、最後には株を買い取ってくれるのを待っている。
M氏には阪神電鉄を経営する気がなく、ブルドックソースを買収しようとしながらリヒテンシユタイン氏はソースが嫌いだった。 M&Aの主体となるのはファンドだが、「カネの塊」であるファンドは、常に、投資家のために利回りを確保しなければならないという「本音」と、事業を再建し会社を再生させて経済社会に貢献するという「建て前」を併せ持つ。
本音だけではアクティピスト・ファンドのように嫌われるから、建て前を忘れないことで企業・国民サイドからの信頼を得るという計算もそこにはある。 望ましいのは、企業価値の向上と従業員の満足が同時に得られ、俗にいう「ウィン・ウイン」の関係が築けることだろう。
しかし現実には難しい。 M&Aをファンドとともに仕掛けるのは投資銀行で、大半が株式を公開しているために、彼らはファンドより「世評」を気にするものだが、その投資銀行にしてM&Aの実態をこう明かすのである。

「本当に必要な、双方の役に立つM&Aがどれだけあるかは疑問です。 買収を仕掛ける側には、株価のため、本業が思わしくないから、といった消極的な理由が少なくありません。
また、投資銀行が持ちかける案件は、銀行のための手数料稼ぎの思惑が主で、顧客のためにというのは二の次三の次であるのが実情。 収益が第一目的のファンドならなおさらそうでしょう」(外資系投資銀行幹部)そこに重なるのがカネ余りである。
余剰資金が投機に流れ、5京円のデリパティブやサブプライムローンがその象徴であることは前章に記したが、それは同時に空前のファンドブ-ムであったことを意味する。 アクティピスト・ファンドのほか、リスクヘツジを第一義とするヘッジファンドや、いったん企業を未上場にしたうえで再上場させて果実を得るプライベート・エクイティ・ファンドなどが次々に立ち上がり、質・量ともに世界経済を揺り動かす存在となった。
資本を求める人や企業に、潤沢な資金が注がれるのは望ましい。 だが潤沢すぎる資金が必要でない人や企業に流れると、害を及ぼすこともある。
社会性のないベンチャー企業の若手経営者に夢を見させたITバブル、増資を通じて業績不振企業に流れ込むヤクザマネー、怪しげなテクニックに疑惑が隠蔽された証券化商品:::成熟国家ゆえの過剰流動性は、犯罪の温床となる。 そこでは数々の犯罪が生まれ、摘発されているが、のは誰か。
その正体を知る必要がある。 被告人になったとはいえ、両氏は、証券市場のマネーゲーム化と、売り買いされる上場企業という現実を国民に知らしめたク功労者である。
その後、世の中を騒然とさせるような「M&A劇場」は閉幕していないが、実際は数十億、数百億円規模の増資やM&Aが繰り返され、東証など取引所は毎日、庖大な量の情報開示を行っている。 そこには真っ当な企業の必要な調達もあれば、「資本のハイエナ」と呼ばれる上場企業をク食い物
にする連中の調達もあり、経済マスコミはもちろん、取引所も監督官庁も捜査当局も、あまりに数が多いので、怪しいマネーゲームを放置している現実がある。 そこで行われているのは合法と違法の隙聞を、金融テクニックで駆け抜けるマネーゲーム

うかつな人問、無知な組織が最後にバカを引く。 典型例を紹介しよう。
M&Aの過程で、上場企業から120億円が消えていた。
金融会社SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸社長が経営する投資会社のケン・エンタープライズ(ケン社)が、中古車販売のソリッドグループホールデイングス(ソリッド社・東証二部上場)に対するTOB(株式公開買付)を成立させたと発表したのは、2007年ロ月日日である。 新聞各紙は「敵対的TOBが国内で初成立」といっせいに報じたが、このTOBの第一章怪しい米国発金融テクニック前に120億円が忽然と消えていたことのほうが問題だった。
もちろん、ミステリーではないのだから、120億円がなくなったわけではない。 社は、前社名のL社オートの時、ソリッドアコースティックス(SA社)からTOBをかけられて成立し、2月、SA杜の傘下企業になった。
この時、ソリッド社には卯億円の預金と数億円の国債があり、120億円は同社のク虎の子ψの資産だった。 ところがTOBの成立後、SA社は「株主総会で正式に買収が決まるまでの保全措置として、120億円に融資先であるリーマン・ブラザーズ証券(リーマン)の質権を設定させて欲しい」と申し入れ、それをL社オートが呑んだ。
すると、その5ヵ月後、リーマンは、「120億円はSA社がL社オートを買収する際に貸した150億円の担保の一部だ」と、主張して没収したのである。 買収相手先の資産を担保にテコの原理を利かせるM&Aを、BO(レパレッジド・パイアウト)と呼ぶ。
米国で1980年代後半、敵対的買収に使われたが、その暴力性が嫌われて、ブームは一過性に終わった。 今回、形はーBOでも、「相手(SA社)に資産がないとは思わなかった」(ソリッド社幹部)というから、詐欺のような買収だったのである。
では、具体的に120億円はどう推移していったのか。 登場人物を紹介しながら、時系列で眺めていこう。
ソリッド社は、前社名をL社オート、ソリッドさらにその斗則はジヤツク・ホールデイングス(ジャック)と名乗っていた。 わずか6年の聞に2回の社名変更。
オーナーにL社もいたというあたりに数奇な運命が表れている。 ジヤツクがL社の傘下に入ったのは翌年9月である。
「ネットと中古車販売の融合」が狙いということだったが、効果を現すどころではなかった。 L社オートに社名変更、「開庖!開庖!」と、H元社長がクルクル回転しながら登場するというベタなCMを全国で流し、「新生L社オート」をアピールした矢先にH氏ら経営陣は逮捕(翌年1月)された。

以降、商標をカーチスとして変更、L社色の払拭につとめたが、同社が印%以上の株式を握るオーナーで、社長もL社から派遣されているという事実は残る。 売数先を探そうにも、火中の栗を拾うような企業はない。
ファンドですら名乗りをあげない。 そんな時、「ヤマハの川上一族」の看板を引っさげて登場したのがSA社だったのである。
今や、正体が割れてしまったSA社だったが、買収に名乗りをあげてきた時、旧カーチスは歓迎ムード一色だったという。 同社元経営幹部が率直に明かす。
「SAの社長は、経営コンサルタント出身の江川賢記氏、 彼と会社経営の経験もある藤嶋啓氏の二人が、ヤマハの川上浩元社長の長男である巌氏を支えているというふれこみだった。
実際、会ってみるとみんな数代で若く、勢いがある。 川上家の資産は潤沢で、SAの下にL社オートのほか、レジャー、音楽・芸能、人材派遣、ソフト開発、不動産などの会社をぶら下げ、一大企業グループを形成するという構想だった。
誤算は、川上家の資産は一部しかSAに流れていなかったこと。 そして、L社オートに社長として乗り込んできた江川、副社長となった藤嶋の両氏がウソつきだったことだ」「ウソつき」とは穏やかでないが、結果的にその指摘は正しかった。



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